私が子供の頃、両親が食卓で示し合わせた
ように「これは美味しいし身体にいいから」と
お箸でつまんで さも美味しそうに口にしたのを
よく覚えています。「なんだか変だなあ」と
思いながらもそうしなければならない気がして
鶏レバーを食べました。ちょっと独特な味は
したけれど「ふ〜ん」と嫌だとは思わなかった
し、まんまと両親の思惑にはまったわけだ
けれど貧血やビタミンAが豊富なのだと聞かさ
れ妙に納得しました。
そして鶏レバーを摂らなければと思ったのは
妊娠中、貧血防止の為です。
もともとは生姜を入れ醤油、砂糖などで
味付ける鶏レバーに馴染んでいたのだけれど
結婚して、義母は鶏レバーをこんにゃくと
一緒に八丁味噌と砂糖(甘味噌)で味付ける
のを普通としていました。
鶏レバーは下処理が大事で、臭み等を
とる為には水に浸けて丁寧に血抜きしない
といけません。
ある時義母と一緒に鶏レバーの甘味噌を
作る事になって、鶏レバーをパックから出し
ボールの水に漬けるのかなあと思ったら、
あにはからんや母は、鍋に水を沸かして
トレーから直接生鶏レバーを入れたのです。
「うそ〜、血抜きはどうするの〜」と私は
心の中で叫んだのですが、生レバーを直接
お湯で茹でザルにあげたのです。
ウン確かにこれでもできるけど、だから
甘味噌のようなレバーの味を消してしまう
濃い味付けにするのかなあと思ったのです。
誤解を恐れずに言うと義母は料理上手で
母の料理はとても美味しいのです。
そんな母が「きゃっ」という感じで
鶏レバーをトレーからお湯にいれたので
私はちょっと可笑しかったのです。
そういえば、母は魚の三枚下ろしなんかは
あまり得意ではなさそうだし、きっと母は
生鶏レバーや生魚を触るのは得意では無い
のだろうと思います。
義母はいわゆる満洲からの引き上げで
とても苦労した人ですが、ちょっとお嬢さん
的なところもあるんです。 昔、魚は魚屋さん
におろしてもらうのが普通だったしね。
何だかその時 太宰治の「斜陽」の
生まれながらの華族と言われた お母さま
をふと思い出したのです。お庭で立ったまま
用をたしてしまうようなかわいらしい
お母さまを。 まあぜんぜんレベルは
違いますけど、、
私は好きというわけではないけれど
必要とあらば魚もおろすし(ただ鯖くらい
大きくなるとワタが多いので嫌だけれど)、
生鶏レバー下処理するのも平気です。
少し前、夫が貧血だと言われ、又鶏レバーの
料理をしています。